「あれ、 この臭い」
注意深く、 ボロ布を 広げてみた甩脂穴位神貼
ほんの小さな しみがある。
帳場に戻って、さっきの番頭に 聞いた。
「あのう、 金魚とか メダカを 売っているところは ありませんか」
「はっ? まだこの季節ですから、 金魚は 出ていませんねえ。
メダカなら 裏の池に いると思いますが」
「一匹もらっても いいでしょうか」
「ああ、 どうぞ」
番頭は、 こいつを泊めても 良かったのだろうか と、 。
「あのう、 まさかとは思いますが、 布団部屋で メダカを飼う気じゃ ないですよね」
マホロバ王国皇太子 ウナサカは、 ユキアを護衛する者たちを 部屋に呼んだ。
「婚儀にて 何も起こらねば、 それに越したことはないが、 そうも行かない 予感がする。
これだけの騒ぎであれば、 祝いの見物に混じって 城下に潜入するのは、 容易(たやす)かろう。
陛下の命令だ。 何かが起こっても、 収めるのは この地の者に任せて 余計な手出しは するな。
わたしは 事があれば、 后と隠れることにする。
我が身と后の身は 自分で守るが、 ユキアまでは 正直に言って手が回らぬ。
タカ、 ハヤブサ、 ツグミ、 カケス、 ツバメ、 モズ、 ミミズク、
その方らで 必ず 守って欲しい、 頼む」
言われた七人は 叩頭(こうとう)した。
代表して、 七人を束ねるタカが 答える。
「はっ、 必ずや 無事に お守りいたします。 殿下、 ご心痛めさるな。
我が娘メドリによれば、 姫様は 娘よりもお強いとか、 滅多な事には なりますまい」
ウナサカと后のテフリは、 驚いて 目を見合わせた。
「ユキアが強いって、 一体 どういうことだ」
「わっ! 殿下にも 内緒でござったか。 しまった。
……しょうがない、 ユキア姫様は 武術に興味をお持ちになられて、
剣術、 体術、 槍術、 馬術、 近頃は 弓もお引きになる との事、
なまじな武人よりも お強くなられたとか。 ご心配には 及びません」
「んー、 それって、 安心していいこと なのだろうか。
かえって 嫁に行かせるのが 心配になってきた」
「カムライ殿下は コクウの英雄、 もっとお強いはずです、
たぶん。 大丈夫でしょう」
皇太子夫妻の 尽きない不安をよそに、 コクウ城下の町では、 にぎやかな夜が更けていった。

< 2015年10>
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